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LD1 【ベルナルド×ジャン】


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 妙にそわそわとしているからおかしいなとは思っていたが案の定だ。
 CR:5のカポが、なんと言うことだろう。エレメンタリーのガキどころか、キンダーの幼児がするような真似だ。こっそりと猫を飼うなど。

 俺は建物の角に隠れ、裏口の隅でこそこそと身を縮めているジャンを見守りながら、若干途方に暮れた。中で飼えばいいだろうと言うべきか、親のように何か叱るべきか、誰か里親を探せばいいのか──手放す気がないのならば飼えばいい。叱る必要は特にない。飼い主を探しているのならば……だがジャンの望みがどこにあるのか知らないうちには、答えは出せない。俺はもう少し観察しようと物陰からジャンと猫を覗いた。
 子猫は柔らかそうな毛並みをしていた。毛足は長い。そういう猫の毛はもつれやすいが、綺麗なものだ。ジャンが手入れしているのだろうか。クルクルと喉を鳴らしている音が微かに聞こえる。撫でるジャンの指に顎を預けたと思えば、手のひらに額を擦り付けて甘える。ジャンは、その甘えたな猫の好きにさせ、また、指先を動かして毛並みを擽り、甘やかしていた。……甘やかしすぎじゃないか? いや、嫉妬ではない。野良猫相手に妬くような心の狭さを持ったつもりはない。だが、ジャン……お前、そんな手つきで俺のことを撫でたりしないじゃないか。ハニー。俺が勝手に、奇妙な理不尽さを覚え始めた頃、ジャンは、猫に向かって言った。

「いっぱい食えよ。あいつに似て小食にならなくていいんだぜ。ベルナルド」

 ――ああ、その時の気分と来たら!
 世界の全てが俺のもののような気持ちがした。俺はジャンのものだから、世界の全てがジャンのもののような気持ちと言った方がいいのかもしれない。しかし、ジャンもおそらく俺のものなんだろう。ではどう表現したらいいのか、もう見当もつかない。子供に名前を付ける時は相談して欲しかったな、ハニー。
 俺は、この思考がまったくもって冷静じゃないことを自覚している。だがとにかく俺は、浮かれた。

μclap Ver.1.21