Padre nostro








※誰ともくっついていない公式SSルートでの、本編後、ルキジャン




















 祈りは終わりましたか、ミスタ。そんな顔をしてどうしたのです。
 ……そう、祈りは終わっていないのですか。

 祈り続けなければいけない? 祈りは魂です、ミスタ・グレゴレッティ。
 祈る形を取ろうとも、魂が祈りを捧げていなければ、それはただのふりだけです。

 だからと言って、祈る形を取ることは悪ではありません。真似事で本当のものに近づくのは、われわれは皆、やって来たことです。赤子は真似をし、言葉を覚え、物事を覚えます。最初から必ず行えるものではなく、また、行えていると思ったとしても、揺らぐこともあります。

 ミスタ・グレゴレッティ。ガブリエーレ。許しは、あなたが受け入れなくては。主の声に耳を澄まさなければ、あなたには何も聞こえませんよ。あなたが受け取ろうとしなければ、主も、あなたに何も渡すことは出来ません。

 救いは、あなたの求める、理解出来る姿ではあなたの元に訪れないかもしれません。
 すぐにわかるものではないかもしれません。
 もしかすると、天の国へ行くまでわからないかもしれません。

 ですが、それは無駄なことではありません。

 祈ることです。無意味だと想うことなく、主を信じ、祈ることです。
 祈ることとは、希望を見失わないこと。ミスタ・グレゴレッティ、あなたが光を見失わないことは、罪でも、逃げているわけでも、ましてや弁明でもありません。

 信じることです。
 愛を曇らせず、想い続けることです。



















「ルキーノ? なんだよ、急に……はぁ? 会いたくなったって、どしたのけ、ボスに会いたくなるときってどういうときよ? 請求書とか領収書とか? ……冗談だって。どうしたんだよ、ルキーノ。なに……痛いって……」
「ジャン。すまん、しばらく、このままでいてくれよ。……祈っている間、お前のことが浮かんだんだ」







2010.07.24.